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68巻2/3号 >

Please use this identifier to cite or link to this item: http://hdl.handle.net/11266/6610

Title: アーヴィング・フィッシャーのスタンプ紙幣(補完通貨)の意義
Other Titles: The Contemporary Interpretation and Significance of Irving Fisher’s“Stamp Scrip”(Complementary Currencies)
Authors: 歌代, 哲也
林, 康史
Utashiro, Tetsuya
Hayashi, Yasushi
Keywords: 貨幣の流通速度
貨幣の減価
負の金利
リフレーション
グレシャムの法則
Issue Date: 29-Jan-2019
Publisher: 立正大学経済学会
Abstract: 1930 年代,大恐慌による痛みを軽減するため,スタンプ紙幣が欧米各地で用い られた.興味をもったアーヴィング・フィッシャーは,スタンプ紙幣を貨幣の流 通速度を上げることに資するものと位置づけ,法定通貨と並行して流通させる補 完通貨として使用することに不況脱却の活路を開くべく,1933年に“Stamp Scrip” を上梓した. 本稿では,フィッシャーが“Stamp Scrip” で取り上げたスタンプ紙幣を中心 に,それらの“Stamp Scrip” 執筆以降の状況も含めて紹介した後,スタンプの仕 組みと,これを用いて貨幣の流通速度を改善するメカニズムを検討する.スタン プ紙幣は需要不足型のデフレーションを克服する手段である.フィッシャーの考 えた不況克服のゴールは物価指数の上昇(回復)だった.不況前の物価水準を目標 とし,その値に戻るまでスタンプ紙幣を供給し続け,目標値に達した段階で停止 * 立正大学非常勤講師 ** 立正大学経済学部教授  本稿執筆にあたり,浅子和美先生,熊本方雄先生,高岡浩一郎先生,高橋豊治先生, 田倉達彦先生には貴重なご意見を賜った.高橋賢司先生には特にドイツの法令等につい てご教授いただいた.心から感謝とお礼を申し上げたい.本稿に関する誤り等はすべて 執筆者に帰するものであり,文中の意見にわたる部分は個人的見解である.するのである.なお,ゲゼルやケインズは自由貨幣・スタンプ紙幣が法定通貨を 代替する通貨として考えていたが,現実のスタンプ紙幣は,法定通貨の地位を獲 得したりすることはなく,法定通貨の機能を一時的,部分的に補完するもので, 法定通貨の従来の制度を微調整する手段に使われた. また,現代の地域通貨にも関係しうる事項として,補完通貨が法定通貨ととも に流通したときのスタンプ紙幣・地域通貨の役割や保有動機,減価と負の金利の 違い,グレシャムの法則との関係,等々について検討する. スタンプは負の金利ではなく,デマレージ(持越費用)と理解したほうがよい. スタンプというデマレージはスタンプ紙幣を使うことに対する公共料金と考えら れ,保有者にデマレージを課すことで,スタンプ紙幣の流通を促進させるのであ る.スタンプを負担することを負の金利と考える者もいるが,厳密には正しい理 解ではない. 景気を浮揚させるためには貨幣の流通速度(回転率)を上げればよいと考えた フィッシャーは,グレシャムの法則でいう悪貨としてスタンプ紙幣を流通させる ことで景気回復を図ろうとしたのである.フィッシャーによれば,不況時には財 の買い手が取引の主導権を持つので,悪貨が流通しやすくなる. 最後に,地域通貨の概念が,災害復興のための復興通貨やボランティア通貨と して利用可能なこと,また,地域通貨が当該地域の金融緩和策となること等,現 代的意義を考察する.広域的に甚大な被害が発生する災害では,通常,法定通貨 を用いてインフラ等の復旧がなされる.しかし,災害復興のみならず地域経済に 資する方法として地域通貨を利用することが考えられる.さらには,地域の新し い金融緩和策の一環として,災害からの復興でなくても,地域経済の活性化を図 ることにも利用可能であろう. スタンプ紙幣や地域通貨は,貨幣の本質,また,今後の貨幣制度を考えるのに 好個のテーマといえよう.  
URI: http://hdl.handle.net/11266/6610
Appears in Collections:68巻2/3号

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